急須に茶葉を入れ、熱湯を入れ、湯のみに注ぐ。
ほとんどの方がこうしてお茶を飲んでいるのではないでしょうか?
もしかしたら、それってものすごくもったいないことをしているかもしれません。
というのも、緑茶にはその種類に適した淹れ方があるからです。
淹れ方によって、美味しくもなるし、まずくもなるのです。
『玉露のおいしい淹れ方を知っていますか?』
『煎茶と番茶を同じように淹れていませんか?』
ほんの少し淹れ方を工夫するだけで、緑茶は最高に美味しくなります。
今回はお茶の淹れ方についてやっていきましょう!!
【お茶の淹れ方】緑茶のおいしい淹れ方!!玉露、煎茶、番茶、ほうじ茶、抹茶を最高に美味しく淹れる方法!!
緑茶の種類によって、温度も時間も淹れ方も変わる
緑茶は種類によっておいしく淹れるコツがあります。
ごく簡単なことですが、基本を踏まえているか否かで、舌の上で感じる味は違ってきます。
緑茶は自分で楽しむことも、来客にふるまう機会も多いものなので、ぜひおいしい淹れ方を覚えておきましょう。
お湯について
使用するお湯の温度は、お茶によって適温が異なります。
おいしいお茶を淹れるには、どんなお茶でも必ずケトルや鉄瓶を使って、一度沸騰させて使ってください。
また、湯を沸かす際に鉄瓶を使えば、お湯の温度が比較的安定し、おいしいお茶を淹れることができます。
家庭に温度計がない場合は、湯冷ましや茶碗をうまく使ってお湯の感覚をつかむといいです。
沸騰した湯をケトルから湯冷ましに移すと、湯温は約10℃下がります。
それを茶碗に移すとさらに約10℃下がります。
容器に移しかえるたびに湯温は約10℃下がると想定して、そのお茶にあった適温にしてください。
また、急須やティーポット、茶器は、淹れたお茶が冷めない様に、あらかじめ8分目まで熱湯を注いで温めておくといいでしょう。
茶道具について
使用する茶道具は市販のもので構いません。
さまざまな形やデザインのものが出ていますが、日本茶を淹れる急須は茶こしと一体化したものが使いやすく、茶葉の成分をしっかり抽出することができます。
茶葉は1杯当たりの分量を示したので、複数分を用意するときは人数分をかけて算出してください。
最後の一滴まで注ぎきる!
また、急須のお茶を複数の茶碗に注ぐときは、色や味に濃淡が出ないように、少量ずつ均等にそそぐようにしましょう。
急須に入れたお湯は、必ず最後の一滴までしっかり注ぎ切ってください。
それが2煎目以降もおいしくいただくコツです。
多少でもお湯が残った状態で、急須を置くと、その間、茶葉に含まれる成分が抽出され続け、余計な苦味や雑味が出る原因になります。
なお、ここで紹介する方法は一つの目安なので、茶葉の量や蒸らし時間はお好みで調整してみてください。
玉露のおいしい淹れ方 ~低温でじっくりうま味を楽しむ~
用意するもの(1人前)
茶葉2~3g(ティースプーン1杯程度) お湯 20~30ml(50~60℃)
湯冷まし、小さめの急須、小さめの茶碗(美しい水色が引き立つ白磁が最適)
玉露の魅力
口中に広がるトロリとしたうま味と、のどの奥から感じる爽快な香気を楽しめるのが、日本茶の高級品、玉露の醍醐味です。
茶葉を摘む予定日の20日以上前から太陽光をさえぎって栽培されることで、茶葉のクロロフィルが2倍以上に増加し、葉の緑色はより鮮やかになっています。
うま味成分のアミノ酸の中でもテアニンが1,5倍以上に増え、カテキンは2分の1以下に減少するため、渋みがマイルドに変化します。
『覆い香』と呼ばれる玉露や抹茶らしい独特な青い香気と、透明感ある淡い黄緑色の美しい水色も存分に堪能しましょう。
手順
- 沸騰させたお湯を茶碗、急須に入れて温めておきます
- 急須の湯を湯冷ましに入れ、また急須に移し替え…と繰り返し、湯温を50~60℃まで下げます。
- 急須に茶葉を入れ、湯冷ましの湯を注いで蓋をし、2分蒸らします。
- 温めておいた茶碗に注ぎます。最後に急須を上下に小さく振って、お湯を一滴残らず注ぎ切りましょう。2煎目は60℃のお湯を20~30ml淹れ、蒸らし時間は1分程度にします。
煎茶のおいしい淹れ方 ~淹れ方で味が大きく変わる奥深さ~
用意するもの(1人前)
茶葉2~3g お湯 70ml(70℃) 湯冷まし、急須、茶碗(美しい水色が引き立つ白磁が最適)
煎茶の魅力
日常的にもっともよく飲まれている緑茶のスタンダードともいうべきお茶が煎茶です。
5月の1番茶の茶葉を用いて作られ、淹れ方によって、限りなく玉露の風味に近づけることもできれば、番茶に近い味にもなるという奥深さが、煎茶の魅力でもあります。
近年は、従来の煎茶よりもきれいな緑色が出て、まろやかな味わいの深蒸し煎茶が好まれるようになりました。
通常の2~3倍長く蒸して軟らかくし、形状も小ぶりに製造されているため、お湯を注ぐとすぐに葉の組織が壊れて成分が溶出し、色もうま味も出やすいのが特徴です。
手順
- 沸騰させたお湯を茶碗に入れてあたためておきます。
- 急須に茶葉を入れ、お湯を注ぎ、蓋をして蒸らします。一番茶のうま味や甘みを引き出したいときは70℃前後の低めのお湯で淹れて2分(深蒸し煎茶の場合は1分)。渋みや苦味を利かせてさっぱり飲みたいときは90℃前後の熱めのお湯で淹れて1分むらします。また、新茶や高級煎茶は低めのお湯で、並の煎茶なら熱めのお湯でと、茶葉のグレードによってもそれぞれ良さを引き出す淹れ方で楽しむことができます。
- 温めておいた茶碗に注ぎます。最後に急須を上下に小さく振って、お湯を一滴残らず注ぎ切ってください。2煎目はそれぞれ1分ほど短く蒸らしていただきましょう。
番茶の淹れ方 ~爽やかな味を楽しむには、茶葉もお湯もたっぷりと~
用意するもの(1人前)
茶葉5g 熱湯100~150ml 土瓶・茶碗
番茶の魅力
番茶は地域によって前後しますが、一般的に7月上旬に収穫する二番茶、8月に収穫する三番茶の葉を使って製造されます。
夏の強い日差しを浴びて育った茶葉は、一番茶に比べると芽の伸びが多少小さくなりますが、形状はやや硬めでしっかりしています。
その分、淹れた際に茶成分の抽出に時間を要するため、番茶には熱湯を使用します。
おいしく淹れるには、大きめの急須を用意し、茶葉もお湯もたっぷり使いましょう。
番茶は渋みの素となる、カテキン類が多く、うま味の素となるアミノ酸の含量は少なめです。
そのため、熱湯を注ぐと、シャキッと目が覚めるような渋みや苦味が立った爽やかな味のお茶になります。
番茶らしい香ばしい香気を引き出すには、熱湯を一気に注ぐことがポイントです。
蒸らし時間はお好みで1~2分程度。
渋い味が苦手な方は、少なめの茶葉に多めのお湯を注ぎ、蒸らし時間を短くしましょう。
日頃どれだけお茶をのんでいるか、味の好みによって、淹れ方を調整できるのも番茶の楽しみです。
茶碗は、厚みや深さがあり、温度が覚めにくい陶器製のものがおすすめです。
ほうじ茶のおいしい淹れ方 ~熱湯でサッと淹れて香ばしさを味わう~
用意するもの(1人前)
茶葉2g 熱湯100~150ml 土瓶・茶碗
ほうじ茶の魅力
煎茶や番茶を強火で炒って香ばしい香気を出したほうじ茶は、カフェインやカテキンが少ないので胃にやさしく何杯でも飲めてしまうお茶です。
番茶以上に味がマイルドで、食事中、食後にもよく合います。
苦味や渋みの少ない、さっぱりとした味わいも、ほうじ茶の特徴です。
また料理用として煮物の汁として利用することもできます。
お茶のうまみ成分の代表であるテアニンは、番茶の30分の1以下に、グルタミン酸などは約10分の1に減少してしまいますが、香気成分は反対に番茶の2,5倍にも増加しています。
さらに渋み成分であるカテキン類は加熱によって酸化重合し、着色物質や不溶性成分になるため、香気がよく、さっぱりした味わいになるわけです。
淹れ方は番茶と同様で、熱湯を一気に注ぎます。
ただし、香気が命のお茶のため、番茶ほど茶葉の量は必要なく、2gで十分。
蒸らし時間は30秒ほど。
1分まで待つと、香気成分が飛んでしまい、もともと少ないカテキンが全面に出てきてしまうので、さっと淹れて飲みましょう。
アイスティーにしてもおいしく飲めますが、その際はグラスにたっぷり氷を入れた中に一気に注ぎ、香気が飛ばないよう急速に冷やしてください。
お茶屋さんで購入する場合は、それぞれのお店ごとに独自の炒り方をして香気を立たせているので、いろいろ試して好みの香りのものを見つける楽しさがあります。
また、家庭で古くなった煎茶を炒って、ほうじ茶を作ることもできます。
ただし、その場合は、油分が残っていない鍋を使いましょう。
ポイントは、強火で鍋を振りながら香気を立たせること。
茶葉が焦げると、焦げ風味のほうじ茶になってしまうので注意しましょう。
熱湯を注ぐお茶なので、茶碗は番茶同様、ある程度の厚みや深さがあり、熱が伝わりにくく逃げにくい形状のものがおすすめです。
抹茶のおいしい淹れ方 ~スピードが命 手早く点てて粋にいただく~
用意するもの(1人前)
茶葉1,5g 熱湯50ml 抹茶茶碗・茶筅
抹茶の魅力
茶道で使われることでおなじみの抹茶は、玉露と同じ製法で直射日光をさえぎって栽培した生葉から作られます。
ただし製造工程は異なり、「揉み(揉捻)」の工程を行わずに乾燥させます。
出来上がった茶は碾茶といい、これで石臼で挽き、粉末状にしたのが抹茶です。
茶葉をまるごと飲めるため、カテキンやアミノ酸、ビタミンA、B1、Cが豊富で、最近では健康・美容効果が注目されています。
抹茶は、茶葉とお湯を茶筅で泡立てて飲むお茶ですが、その飲み方には「薄茶」と「濃茶」の二種類があります。
薄茶は銘々で飲み切るお茶であるのに対し、濃茶はたっぷりと抹茶を練るように点て、複数人でまわしのみするという作法の違いがあります。
ここでは家庭でも楽しめる一般的な薄茶の点て方をご紹介しましよう。
薄茶の点前には美しい所作があり、ゆったりといただく優雅なお茶ですが、科学的にみると抹茶は酸化しやすい粉末で、熱湯を入れて時間が経つにつれカテキンが多く抽出されて渋くなってしまうことから、実は点てる側も飲む側もスピードが命のお茶でもあるのです。
口当たりよくおいしく点てるコツは「抹茶がダマにならないように手早く混ぜること」に尽きます。
そのために、抹茶缶から出した抹茶がダマになっているときは、あらかじめ茶こしやふるいにかけておきましょう。
手順
- ふるいにかけた抹茶を抹茶茶碗に入れ、端から静かにお湯を注ぎます。茶碗の縁を片手でしっかり押さえたら、茶筅を垂直に立てて茶碗の底につけ、抹茶を潰すように1~2回「の」の字を書きます
- その後、手首のスナップを利かせて縦に小気味よくリズミカルに茶筅を動かしてください。目安は抹茶が空気を含み、全体にきめ細かい泡ができるまでです。
- 細やかできれいな泡がたったら茶筅の動きを止め、再び「の」の字を書いて垂直に引き上げます。
抹茶茶筅を選ぶときは、左の手のひらで茶碗の底(高台)を包むように持ち、右手を添えて手にしたときにおさまりがよいものがおすすめです。
代用する際は、カフェオレボウルなど、できるだけ底面が平らでやや深みがあり、横に広がりのある厚めの茶器を使いましょう。
茶筅は必ず使うので、ひとつ用意しておくと、いつでも気軽に薄茶を楽しむことができます。
茶筅は消耗品のため、穂先が折れたり、短くなってきたら買い替えの時の目安です。
なお、抹茶は劣化が早いので、購入する際は小さめの缶を選び、常温で密封保存をしてできるだけ早めに飲み切るようにしましょう。
緑茶は種類によって、おいしい淹れ方が異なります。
それぞれに合わせた淹れ方とするのがお茶の粋なところですね。
玉露、煎茶、番茶、ほうじ茶、抹茶の違いについてはこちら
まとめ
・緑茶は種類によって温度も時間も淹れ方も違う
・急須で入れる場合は最後の一滴まで注ぎきること
・玉露は低温でじっくりうま味を楽しむ
・煎茶は淹れ方で大きく味が変わる
・番茶は茶葉もお湯もたっぷり使う
・ほうじ茶は熱湯でサッと淹れる
・抹茶はスピードが命
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