お茶は栄養の宝庫と呼ばれています。
また、お茶が身体にいいということは何となくわかっていると思います。
身体にいいと言われる成分にはどのようなものがあり、どの程度入っているのか、ご存じでしょうか?
それを理解した上でお茶を淹れて味わえば、おいしさにありがたみも加わりますよね。
『緑茶にはどんな栄養が含まれているのか?』
『緑茶のビタミンにはどのようなものがあるのか?』
『お茶に含まれる成分が、私たちの身体にどのような作用や効能をもたらすか?』
今回は緑茶の栄養についてやっていきましょう
【緑茶の栄養】緑茶のビタミンはビタミンCだけじゃない!お茶は栄養の宝庫!緑茶のビタミン・栄養・効能教えます!
緑茶に含まれるさまざまな成分
お茶には身体を健やかに保つ成分が豊富に含まれています。
お茶は健康にとって優れた飲み物であることが検証された数少ない食品のひとつです。
現在、お茶の機能性を調査する研究の多くは日本が中心です。
緑茶を用いて実施され、疫学調査から動物実験、そしてヒトを対象とした臨床試験、さらにその機能性について、分子生物学的なメカニズムの解明も行われています。
緑茶の栄養分
まずは緑茶の成分構成から見てみましょう。
緑茶の栄養分はさまざまな成分を含有しています。
大きく分けると3つに分かれ、成分ごとに身体によい効果を持っています。
・ビタミンB群、ビタミンCなどの「水溶性」成分
・ビタミンA,ビタミンEなどの「脂溶性」成分
・食物繊維などの「不溶性」成分
含有量はたとえ微量でも、数多くの成分を一杯のお茶から一度に摂取でき、成分同士の相乗作用によっても高い健康効果を期待できるのが緑茶の魅力です。
緑茶のビタミン
緑茶の栄養成分で豊富なのは、ビタミンとミネラルです。
ビタミン類は「βカロテン(ビタミンA)」「ビタミンB群」「ビタミンC」「ビタミンE」を含み、中でも含有量が多いのは「ビタミンC」です。
抗酸化力が高くコラーゲンの生成に不可欠で、とくに煎茶の含有量が多いです。
ビタミンCは煎茶で100グラム当たり、250ミリグラム含まれているのに対し、ウーロン茶には8ミリグラム、紅茶にはまったく含まれていません。
緑茶のビタミンCは比較的熱にも強く、水溶性なのでお茶をのむことで楽に摂取できます。
また、老化防止のビタミンとして注目されているビタミンEも、煎茶なら100グラムあたり64,5ミリグラムも含んでいます。
緑茶のミネラル
ミネラル類で多いのは「カリウム」と「カルシウム」で、とくに身体の基本構造に深くかかわるカリウムはミネラル全体の約半分を占めます。
そのほか、整腸作用のある「食物繊維」、虫歯を防ぐ「フッ素」、降圧作用のある「γアミノ酪酸(GABA)」、血糖値を下げる「ポリサッカライド」、また悪玉コレステロール酸化防止効果のある「コエンザイムQ10」も含まれています。
カテキン・テアニン・カフェイン
さらに注目されている成分がカテキン、テアニン、カフェインの3成分です。
いずれも緑茶だけでなく、紅茶、ウーロン茶にも共通する含有成分で、お茶の味を決める「渋み・うまみ・苦味」の3要素に加えて、それぞれに身体によい作用をもたらすこともわかっています。
カテキン・テアニン・カフェインについて詳しくはこちら
ビタミンの効能・効用
ビタミンA
強い抗酸化作用を持つ脂溶性ビタミンです。
ビタミンAが不足すると、必要な分だけビタミンAに変換されるため、βカロテンは別名『プロビタミンA』と呼ばれます。
緑茶に含まれるビタミンAは緑黄色野菜同様、βカロテンとして含まれています。
βカロテンが体内で血液に吸収されてビタミンAと同じ効力を発揮します。
ビタミンAは皮膚や粘膜のビタミンとも呼ばれ、肌荒れを治し、紫外線の害から髪や皮膚を守ってくれます。
またビタミンAが不足すると鳥目といって、暗いところでは物が見えなくなる夜盲症になることがよく知られています。
抗酸化作用、抗がん作用があることもわかっています。
悪玉コレステロール(LDL)の酸化を阻止し、動脈硬化を予防します。
美肌効果(肌荒れ、シミ、シワ予防)があり、爪や髪も健やかに保ちます。
ビタミンB群
緑茶のビタミンB類はB1,B2、そしてナイアシンです。
ビタミンB1は炭水化物の代謝を助け、消化を促します。
糖質を体内で燃焼させてエネルギーに変えるときには不可欠な栄養素なので、甘いものが好きな人や肥満が気になる人は積極的にとりたいビタミンです。
ビタミンB2は粘膜を保護する働きがあり、美肌や健やかな髪をつくりますが、不足すると口内炎や口角の炎症などの原因にもなります。
また、老化を招く過酸化脂質の害を抑える作用も期待されています。
ナイアシンとはニコチン酸のことで、皮膚病の予防効果があります。
シミのほか、ペラグラなどの皮膚病はニコチン酸によって起こります。
ビタミンC
抗酸化作用が強く、疲労回復や美肌効果(メラニン色素の生成を抑えてシミを作りにくくする)でおなじみのビタミンです。
肌の美白効果、壊血病の予防、風邪の予防、抗ストレス作用などがあり、最近では発がんの抑制作用があることがわかっています。
ビタミンCを大量にとるとウィルス感染への抵抗力が増し、さまざまな病気の予防や治療に役立ちます。
光合成で生成されるため、非発酵の緑茶に豊富で、玉露や碾茶のように被覆栽培しないお茶にもっとも多く含まれます。
水溶性で熱に弱く、酸化しやすいことで知られていますが、お茶はカテキンの酸化抑制作用によってビタミンCが守られるため、熱湯で淹れても破壊されないのが特徴です。
そして、乾燥させた天然の食物のなかでビタミンCが豊富に含まれているのは緑茶と唐辛子だけです。
野菜嫌いや果物を食べない人は、ビタミン剤でビタミンを補給するよりも緑茶を飲む方がずっと自然なとりかたと言えるでしょう。
ビタミンE
ビタミンEは体内にできる過酸化脂質を抑え、老化を防ぐビタミンとして脚光を浴びています。
緑茶のなかでビタミンEを含むものは煎茶と抹茶だけですが、ほかの食品でビタミンEを含むものはナッツや油脂類など高カロリーのものが多いだけに、カロリーゼロの緑茶は見逃せません。
ビタミンEが不足すると細胞機能や生殖機能が衰え、流産や不妊の原因にもなります。
食物繊維
便秘解消、大腸がんの予防に効果があると言われ、毎日積極的にとりたい成分です。
水溶性、不溶性があり、お湯で抽出して飲む場合は水溶性のみの摂取となります。
不溶性の食物繊維は茶殻を活用したメニューや抹茶、粉茶から摂取できます。
食滅繊維には体内の余分なコレステロールや脂肪を排出する作用があります。
水分を含むと膨張するため、早く満腹感に達することができ、ダイエット指向の強い人に人気がある成分です。
緑茶には平均して重量の約30パーセント近くもの食物繊維が含まれています。
ミネラルの効能・効用
緑茶にはこのほか、クロロフィルやフッ素、サポニン、カルシウムなどのミネラル類などが含まれています。
クロロフィルは葉緑素のことで脱臭効果が高く、歯磨き粉や胃腸薬などに使われています。
フッ素は歯の表面を強くするので、虫歯菌や歯垢から歯を守ってくれます。
フッ素は番茶にもっとも多く含まれています。
サポニンは抗疲労作用や強心作用のほか、血栓予防作用、勢力増強作用など、さまざまな効力が認められています。
お茶の成分と効能の一覧 平成28年 茶関係資料日本茶業中央会
ビタミンA(βカロテン) 抗酸化、がん予防、免疫反応増強
ビタミンB群 B1 B2 ニコチン酸、糖類の代謝
ビタミンC ストレス解消、抗壊血病、抗酸化、風邪予防、がん予防、メラニン色素生成予防
ビタミンE 抗酸化、がん予防、抗不妊、老化防止、動脈硬化抑制、コレステロールバランス調整
ビタミンP(ルチン) 血管壁強化、高血圧に効果
ビタミンU 抗消化器潰瘍因子
カフェイン
覚醒作用、大脳刺激作用、疲労回復、ストレス解消、強心、利尿、抗喘息、代謝亢進
カテキン類
抗酸化、発がん抑制、抗腫瘍、突然変異抑制、血中コレステロール低下、血圧上昇抑制、血糖上昇抑制、血小板凝集抑制(抗動脈硬化、抗脳卒中)、脂肪吸収抑制、抗菌、抗ウィルス、虫歯予防、抗アレルギー、腸内フローラ改善、腸内毒素型菌の殺菌、削臭
フラボノイド類 血清形成抑制、白内障抑制、がん細胞増殖抑制、抗酸化、消臭
γ―アミノ酪酸(GABA) 血圧降下作用、抑制性神経伝達物質血圧降下作用
テアニン うまみ成分
ポリサッカロイド・サポニン 去痰作用、消炎作用、抗糖尿、血糖低下
フッ素 虫歯予防、抗ガン、抗炎症
亜鉛 幼児の発達促進、味覚機能向上、皮膚炎防止、免疫性低下抑制、抗がん、抗炎症
銅・カリウム・ナトリウム・カルシウム・マンガン・ニッケル・モリブデン 抗酸化、抗がん、抗炎症
セレン 抗酸化、心筋障害防止、抗がん、抗炎症
まとめ
・緑茶には身体を健やかに保つ成分が豊富に含まれている
・緑茶にはビタミン、ミネラルが豊富
・緑茶には「水溶性」「脂溶性」「不溶性」成分が含まれている
・一杯のお茶から一度にたくさんの成分を摂取できる
・成分同士の相乗作用により、高い健康効果を期待できるのが緑茶の魅力
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